総合ソリューションパートナー
第143号 2021年 8月
株式会社タカネットサービス
神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目6番4号物流業界では、新型コロナウイルスのワクチン接種 が進む中、早くもコロナ後の対応についての議論が盛んになっています。この間、製造業の不振などを背景に荷動きは鈍かったのですが、何とか、回復基調に乗ってきそうな状況になってきていることは事実です。厳しい期間が長かっただけにその反動ではないのですが、期待も大きいというものでしょう。しかし、物流企業にあっては荷動き回復は好材料ですが、引き続き労働力の確保・育成、業務の効率化・高度化、さらに適正運賃の収受などの課題解決に取り組まねばなりません。それにしてもコロナ禍では通販市場が大きく伸びるなど消費行動を大きく変え、また、物流サービスでもデジタル技術の活用などを加速させました。いずれにしてもコロナ後の「環境変化」を注意深く分析し、新たな経営戦略のもとで事業展開していく必要があるのかも知れません。
国土交自動車運送事業者の2020年度の「行政処分等の概要」によると、行政処分などの件数は前年の287件から35・9%減の184件と大幅に減少しました。監査の実施件数は22%減の398件でした。行政処分の内容では貨物運送業許可の取り消しが1件(前年比80%減)、事業停止(車両停止との重複含む)が13件(31・6%減)、車両停止のみが151件(37・3%減)、文書警告19件(13・6%減)でした。なお違反事項で一番多かったのは指導監督(368件)、次いで点呼(320)、過労防止等(190件)、定期点呼(123件)、乗務記録(109件)となっています。
日本通運(本社・東京)はこのほどNECと、DX(デジタルトランスフォーメーション)による価値共創に向け業務提携を結びました。IоTによる倉庫運営の効率化・省力化を皮切りにデジタル技術を活用した新事業の立ち上げなどに取り組んでいきます。短期的には物流現場で働く人や物の動きをデータ化し、作業員が安全・安心に働ける労働環境を構築することで、事故ゼロや人員配置の最適化にもつなげていきます。
セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市)は新型コロナウイルスのワクチン配送で、QRコードを活用し、医療機関や接種会場へ間違いのないように「安全・確実」に届ける仕組みを構築し実施しています。グループ会社のジーニー(本社・東京)が運営する処方箋即時配送サービス「アルー」のシステムを活用します。具体的には配達時間予告メール機能と配達時の本人確認機能を利用するもので、医療機関など固有のQRコードを読み込まなければ、ワクチンの引き渡しができない仕組みです。
福山通運(本社・広島県福山市)は、当日配送サービスの「福山グリーン便」のエリア拡大に向け、大阪―名古屋間の輸送を追加しました。近畿日本鉄道が同区間で運転している「アーバンライナー」を活用しながら迅速なサービスを提供します。福山グリーン便は、午前中に集荷した荷物を当日中に配達する輸送サービスですが、これまでは「同一エリア」などに限られていました。同社によると、今回の試みが初の広域サービスとなりました。
トランコム(本社・名古屋市)は埼玉県蓮田市に3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業を手掛けるための大型物流施設「蓮田ロジスティクスセンター」を開設しました。全国で約60カ所の物流センターを開設・運営していますが、蓮田の施設は最大規模を誇ります。敷地面積1万5000平方メートル、3階建てで、延べ床面積2万3800平方メートル。同社では物流需要の旺盛な関東地区のコア拠点として機能させていきます。
鴻池運輸(本社・大阪市)はこのほどサントリー向け主力の「新千歳流通センター」(北海道千歳市)を稼働させました。延べ床面積は1万6560平方メートル。総投資額は33億円。千歳市近郊に7カ所の倉庫を確保していましたが、集約することで業務・作業の効率化を図ることにしました。
東京五輪の開催中ですがコロナ禍は一段と厳しさを増してきているようです。果たしていつになったらと思われる方も多いとは思いますが、ここは一つ現実を直視し戦略を練り「コロナ後」に備えていく必要がありそうです。 西口