税金の話 第五回 バレンタイン・ショック
皆さんは、バレンタイン・ショックという言葉をお耳にされたことはあるでしょうか?
節税のいろはとして、多くの企業が活用してきた生命保険商品の税務上の取り扱いを見直す方針を国税庁が大手保険会社に通知し、平成31年2月14日、販売停止(自粛)になりました。
個人的には、保険解約時の出口対策など、計画性なく節税になるということで無秩序に売り続ける保険会社の過度な競争には正直なところ違和感はありましたが、ここでそれを書き始めると長くなってしまうので、本稿では、生命保険の行く末についてお話ししたいと思います。なお、あくまで私見ですので、匿名税理士の独り言としてご一読頂ければ幸いです。
まず、国の思惑である、節税保険に止めて指せば、税収に上がるというのは、果たして本当なのでしょうか?確かに、損金性の高い保険に加入すれば、その企業の法人税は少なくなります。しかし一方、その保険を販売した生命保険会社は、収入保険料として売上に計上され、それに見合うだけの税収があったはずです。
また当然、解約時には返戻金は雑収入として課税されますし、万一、保険事故が発生すれば、企業に多額の保険金が入り、これも法人であれば雑収入として課税されます。一方の保険会社は、支払保険料を保証するため、預かった保険料を運用するなど大きな収益を得ています。
すなわち、今回の税制改正により、民間で周り巡っていたお金が即国庫金となってしまうことで、景気を動かすことのできない死に金になってしまったと考えられます。
次に今後、企業は、どのような保険に加入すれば良いでしょうか?
これまでの企業向け節税保険は、損金性を高くし、解約時の税効果を加味した実質返戻金率を100%超にすることで、そのメリットを提唱してきました(もちろん出口対策ができていることが大前提です)。
今回、損金性という後ろ盾をなくした生命保険会社が、実質返戻金率の高い保険商品を作るためには、単純返戻率を高くしなくてはならず、運用駅の競争になると単純に予想できます。
唐突ではありますが、解約時に返戻金が入る生命保険は、当然ながら、海外にも存在しています。そしてそのどれもが日本の生命保険おはるかに超えた返戻率となっています。損金性が低くなった生命保険に求められるものは、運用益(単純返戻率)と本来の保険の趣旨である死亡保険ですが、海外生命保険は、どちらも比べ物にならないような高い数値となっています。
ここで言っている海外の生命保険とは、日本で販売されている外資系の保険会社という意味ではありません。実際海外で販売されている生命保険です。グローバル化の進む現代社会において、加入すべき保険を検討するのであれば、このような商品も有効なのかもしれません。
もし、この海外保険にご興味ある方がいれば、海外金融商品研究会という団体が、勉強材料としてさくせいした冊子が、下記よりダウンロードできるので、詳細については、こちらをご参考にしてみてください。
さて、最終回となる今回は、ハマっ子税理士の真骨頂である、資産運用に目を向けることにしました。税金の話ではなく、運用の話と思われがちですが、この海外生命保険を活用し、事業承継対策としている日本の中小企業は決して少なくないと聞いています。世界に目を向ければ、意外と知られていない企業防衛プランがあるかもしれません。