中古トラックの購入資金に使える補助金制度や助成金制度
日本の物流を支える陸送で欠かせないのがトラックです。一般に2トン車、4トン車、10トン車の3種類があり、どれも事業内容や運ぶ物品によってさまざまな車両が作られていますが新車で買うと相当な値段になります。
中古でトラックを買うにしてもそれなりの額は必要なのですが、実はいくつかの補助金・助成金があるのをご存知でしょうか。今回は中古トラックの購入資金に使える補助金・助成金について紹介します。
今回は「安全対策事業」「環境対策事業」、そして「経営改善事業」の3種類についてお話します。
安全対策事業とは次にあげる5つの項目からなるものです。
〇衝突被害軽減ブレーキ装置導入促進助成事業
現在では標準装備となった衝突被害軽減ブレーキですが、中古トラックの場合ついていない場合もあります。仮についていなくても後付けできます。
〇安全装置等導入促進助成事業
安全に走行することを可能とするために「後方視野確認支援装置(バックアイカメラ)」「側方視野確認支援装置(サイドビューカメラ)」やアルコール検知器の搭載を促進するための助成金です。こちらも後付け可能です。
〇ドライバー等安全教育訓練促進助成制度
日頃のトラック運行に関わるすべての人を対象にした訓練に対する助成制度です。事故や故障時の対応はもちろんですが、体調管理などの面でも教育があります。
〇トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業
睡眠時無呼吸症候群は心臓病の前触れとも言われています。突然の心臓発作などで事故につながらないよう検査をするための助成制度です。
〇血圧計導入促進助成事業
血圧の管理もまたドライバーの意思とは異なる面での事故を防ぐために必要です。脳梗塞や心筋梗塞で不測の事故を防ぐために血圧計を導入することを目的としたものがこちらです。
トラックに限らず、自動車は何かしらのトラブルが車体や運転者にあれば大事故につながりかねない走る凶器となります。それらを防止するために車体側の対策、運転者側の対策が設けられています。これらをクリアすることで助成金が受けられる仕組みとなっています。
同様に、環境対策事業についても以下の3項目が明示されています。
〇環境対応車導入促進助成事業
環境対応車とは排気ガスの温室効果ガス排出量の削減目標にどれだけ達成できているかによって与えられるもの。自動車全般で後ろ側にステッカーが貼られています。
〇アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業
排気ガスを抑える機能として登場したアイドリングストップ。この機能を支援するための装置がついた車に対しての助成制度です。
〇天然ガス自動車用燃料供給施設等助成事業
天然ガスを燃料とする自動車の供給施設を普及させるための助成制度です。まだまだ十分とは言えない施設への設備投資に充てられます。
環境対策は全世界で叫ばれているもの。トラックはそのほとんどがディーゼルエンジンによるものですが、一部ではCNGを採用したトラックで環境問題の対策が測られています。また、2020年代には大型車製造販売の大手4社がこぞってハイブリッドシステムを搭載した大型車を発売予定。今後の環境対策事業はますます本格化するでしょう。
最後に、経営改善事業ですが、こちらは運転者や車両を管理する経営陣側に求められる項目です。
〇準中型免許取得助成事業
車両総重量が3.5t以上7.5t未満の車を準中型といいます。この免許を取得するための助成制度がこちらになります。
〇中小企業大学校講座受講促進助成制度
中小企業の経営者などを対象にした講座の受講に対しての補助を規定しています。
〇自家用燃料供給施設整備支援助成事業
企業内で利用する車に自社で燃料を入れられるようにする施設を整備する際に受けられる助成事業です。
〇インターンシップ導入促進支援事業
インターンシップ制度を導入し実施することに対しての支援事業になります。
〇経営診断事業
その企業が問題なく経営されているかどうかを診断する事業が経営診断事業です。
〇中央近代化基金「補完融資」
〇中央近代化基金「燃料費対策特別融資」
それぞれ融資という形ではありますが、事業規模が1億円以上の企業に対して行われる融資制度のことです。
経営改善事業は中古トラックの購入時の助成金にはなりませんが参考として覚えていきましょう。
以上3つの項目からお話をしましたが、この中から中古トラックの購入資金として使えるものは、安全対策事業の「衝突被害軽減ブレーキ装置導入促進助成事業」「安全装置等導入促進助成事業」環境対策事業の「環境対応車導入促進助成事業」「アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業」、そして「天然ガス自動車用燃料供給施設等助成事業」の5つになります。
補助金といえば公的機関のイメージが強いもの。もちろん国も物流を支えるトラック業界に対していくつかの補助金を用意しています。中古車市場では少しハードルの高いものもありますが、今後の市場に出てくる可能性がたかい比較的新しい車種に備えて紹介します。
先進環境対応大型NGVトラック、先進環境対応トラック、先進環境対応バスが対象の助成金制度が「電動化対応トラック・バス導入加速事業」です。ハイブリッド機能を搭載したものやCNGの大型トラックなど、昨今国内外で叫ばれている環境問題に配慮することを前提とした車両の購入経費の一部として使用ができます。
こちらの制度は、運送事業者はもちろんのこと、トラック・バスを扱うリース会社も補助の対象となっています。
ディーゼルエンジンを使用するトラックに求められるのは低炭素型と呼ばれるモデル。これらは車両にステッカーが貼られているため、対象かどうかの確認は剥がされていない限りすぐに確認できます。
平成27年度重量車燃費基準を大型車及び中型車は+5%以上、小型車は+10%以上達成した車両がこの助成金制度の基準に該当しています。識別番号も存在し、以下に一般財団法人環境優良車普及機構のまとめた識別番号の表を公開しておきます。
車型区分(車両総重量) | 補助対象となる排出ガス規制識別記号 | |
大型
(12t超) |
「LPG」
「QPG」 |
「2PG」
「2RG」 |
中型
(7.5t超~12t以下) |
「SPG」
「TPG」 「TRG」 |
|
小型
(3.5t超~7.5t以下) |
「TRG」
「2RG」 |
※引用元URL:http://www.levo.or.jp/fukyu/hojokin/h31_index.html
自動車の排気ガス中に含まれる二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)などの有害物質のうち、抑制対策事業費として補助金が出るのは二酸化炭素です。二酸化炭素削減は国際目標として取り決められるほど問題視されており、残念ながらトラックはよくやり玉にあげられます。
そんな中でトラックの二酸化炭素排出削減に貢献する事業者に対して出されるこちらの補助金。もちろん中古車購入の資金として使うことができます。
ただしこの制度の対象はすべての車両ではなく、ハイブリッドトラックは最大積載量2トンかつ車両総重量4トン以下の車両、CNGトラックは最大積載量5トンかつ車両総重量8トン以上の改造車両は対象外と範囲が限定されています。
今後その対象範囲が拡大する可能性がありますが、平成31年時点ではこのようなくくりとなっています。対象の車種を導入するのであればぜひ使いたい制度です。
車両購入時に通常車両価格との差額の1/3を補助する制度で、「自動車環境総合改善対策費補助金」とともに国土交通省が支援する制度となっています。中小企業での車両購入は相当厳しいもの。制度をうまく活用して車両入替などを行いましょう。
代表的なものに「日本政策金融公庫」があります。利率がオートローンより低く設定されているケースも多く、融資を受ける際にはありがたい話でしょう。利率は毎日変動するので必ず確認をするようにしましょう。
ただし、あくまで融資なので、補助金と違って返済が必要になります。また、審査基準がオートローンより高くなるため、通ればラッキーぐらいの気持ちでいた方が良いでしょう。
また、これらの申請には締め切りがあるものもあります。事前に書類を集めてすぐに提出できるように準備しておくこともおすすめします。
補助金の中には最新設備を中古トラックに取り付けることで補助の対象となる場合もあります。詳しくは各助成事業を行っている団体に問い合わせることがベストです。
まだまだハイブリッドトラックやCNGトラックが中古車市場に出てくることは少ないかもしれません。しかし、今回紹介した制度を活用するには車両本来の機能面だけではなく、補助金の対象かどうかにも注目してもいいかもしれません。できるだけ経費を抑えて車両入替や購入ができるように事前準備を怠らないようにしていきたいですね。