月刊トラックランドONLINEとは

ユーザーボイス

株式会社エートラフィック
代表取締役倉原 洋祐氏

企業名:株式会社エートラフィック
本  社:京都府宇治市槇島町千足18-1
ヤード:京都府京都市伏見区 向島清水町46
設  立:令和元年9月
業  種:一般貨物運送業
従業員数:18名(うちドライバー15名)
所有台数:19台


次代を担うZ世代が自分たち自身で作っていく会社

会社の敷地内に足を踏み入れると、併設された整備工場内のジャッキアップされた乗用車が目に留まると共に、電動工具の音が辺りに反響して聞こえた。
京都府南部を流れる宇治川付近に本拠を構える株式会社エートラフィック(以下、エートラフィックとする)は、京都府宇治市を中心に運送事業を行っている会社だ。
設立から10年目を迎えたグループ会社の株式会社カーステップ(以下、カーステップとする)で中古車両の輸出や販売、解体事業などで業績を伸ばしながら軽貨物配送を始め、その後一般貨物運送事業許可を取得し、別会社エートラフィックとして事業をスタートした代表取締役の倉原洋祐氏。設立から3年の間に車両保有台数を5台から19台に増車し、会社を成長させ続ける秘訣を伺った。


ガソリン処分のため軽貨物配送をスタート

Q:設立のきっかけは?

A:グループ会社のカーステップで車両解体の際に出るガソリンを処分するために始めた軽貨物の配送がきっかけです。

カーステップでは自動車の解体を行っており、車両を最終処理する時には、オイルやウォッシャー液の他、ガソリンも1回抜かなければいけないし処分にすごく困っていたんです。フォークリフトと通勤車両に入れても全然補えない。そこで、当社に配送業務の経験がある従業員がいたので「軽バンの軽貨物配送をして、その車両にガソリンを入れて消却したらいいんちゃうの?」って。それがきっかけとなり、カーステップで軽貨物配送を始めました。
転機となったのは、軽貨物配送の仕事で知り合った運送会社の社長に「うちがバックアップしますから、トラック配送もしましょうよ」と声をかけて頂いたことです。ほなやりましょうか。と決断しエートラフィックを設立。2020年12月に一般貨物運送事業の認可が下り本腰を入れて運送事業を始めました。

Q:車両台数は?

A:設立当時は5台で、すべて4tアルミウィングでした。

今は中型・大型アルミウィング17台とトラックランドから借りている大型の冷凍バン2台ですね。もっと増やしたいところですが、京都の営業所は20台までと決めています。


人生の転機は、ある朝のふとした瞬間だった

Q:グループ会社カーステップ設立のきっかけは?

A:ディーラー整備士の仕事だけではなく、自動車の輸出とか解体業など違う仕事がしてみたかったからです。

整備士として仕事をするならディーラーでいいけど違う仕事がしたいなと。元々父が車の整備工場をやっていたんですよ。父は私が24歳の時に事故で他界したのですが、その際に会社は父が一番信用していた社員の人に全部譲渡して継いでいただきました。4年くらい経った時に、その仕事がやってみたいかなあ?って思いはじめて。父の会社だから継ぎたかったというわけではないです。自分の中で葛藤があったんですよ。その当時10年勤めていたディーラー整備士の仕事を一生続けるか辞めるかで。その仕事が1番楽しいと思っていたのですが、ある朝なんか起きた瞬間にふと辞めようみたいな。ほんまにこうリアルにそうなんですよ。辞めよう!みたいな(笑)昨日は楽しいと思っていた仕事を辞めて、カーステップを設立しました。設立当初は中古の乗用車や大型観光バスをアフリカや、ニュージーランド、マレーシアなどに輸出する仕事をしていました。大型観光バスはメーカーによっては売れず、10台在庫を抱えた経験もあります。今は車両の解体及び部品販売、乗用車の整備や陸送などを行っています。

Q:どのような荷物を運んでいますか?

A:印刷物や食品、飲料品、段ボールなどを配送しています。

他には、大手タイヤメーカーの製品を大手自動車メーカーに納品する仕事や、脚立やパイプ椅子をホームセンターに卸に行く仕事、京都の酒造メーカーの飲料を納品しに行く仕事などを行っています。
設立当時からある仕事を続けていて、それに付随していろんな仕事が増えてきたかなという感じですね。
当社の仕事の割合は九州と関東の協力会社から貰う仕事が8割で自社便が2割。協力会社には仕事を依頼することもあります。配送エリアは主に京都から東海地方、大阪方面、和歌山、日帰りで行ける範囲の山口までですね。

Q:運送で利用している車はカーステップでメンテナンスをされているのでしょうか。

A:カーステップでやっているやつもあるし、外注でやっているやつもあります。

大型車の整備認証は取得しているんですけどね。大型車両が整備工場に入らないので、大型車は外注に出しています。

Q:トラックランドを利用したきっかけは?

A:カーステップのお客様がトラックランドの車両をHPで見て購入したいと相談してきたことです。

その際にトラックランドを知って、当社が運送の仕事を始める時に3トン積載以上のトラックを急いで用意しなきゃあかんと。そんな時に、トラックランドなら在庫があるかもしれないと思い聞いたら、1台ありますよと言ってくださった。その時に買ったのがフォワードアルミウィング。数か月後にギガアルミウィングを購入、さらに新規事業を始めるためにトラックランドの『リースdeスグのり』サービスで大型トラックを借りました。車両の納期は早かったですね。


Z世代が自分たち自身で作っていく会社

Q:力を入れている取り組みは?

A:現場の仕事の体制作りです。

当社では1車2人制にしていくように取り組んでいます。現在数台は1車2人制になって1台で2つの仕事を行けるような体制が取れるようになりました。
また、当社はほとんどZ世代※の若い従業員達なので、歳の離れた自分達の世代とは異なる考え方を持っているでしょうし、今までとは異なるアプローチをしてどういう風にしたらモチベーションが上がるかを考えています。チームを組ませて安全運転の教育をさせるとか、会社をこういう風に変えていこうかなどといったことを従業員が自発的に行動を起こせるように、少しずつ企画をさせています。
例えば、今までは運行管理者がパソコンでスケジュールを管理し、各乗務員の状況を確認しながら電話連絡で決めていましたが、今後はアプリを使って自分達で全員のスケジュールを管理しましょうよという企画が上がりました。導入することにより、全員が携帯1つで今日この人休みやなとか状況が一目でわかるので、「俺も土曜日月3回出たいわ」とか「きついだろうから変わろうか?」とかね。そうしたら、チームワークじゃないけれども、見える化をして効果が出てくるんじゃいかなと。逆に提案されたりもしています。
エートラフィックは次代を担うZ世代が自分たち自身で作っていく会社。若いうちからこういう会社にしたいなっていう気持ちを抱き、ただのトラックの運転手で終わらないで欲しいと言っています。

※:z世代とは、1996年から2015年の間までに生まれた世代のことを指す。また、デジタルが当たり前の時代に生まれてきたことから、デジタルネイティブとも呼ばれる。

Q:従業員への支援制度はありますか?

A:免許取得支援と、運行管理の資格支援を行っています。

免許取得の費用は全額出しています。自分は大型乗らないと決めているなら中型免許を取得したらいいし、将来的に大型乗りたいと少しでも思うなら大型免許を取得するように勧めています。
運行管理者の資格試験は、今年1人受験が決まっています。今後2人3人運行管理者の資格試験を受けて運行管理者になってくれたらいいかなと思っています。

Q:今後のビジョン

A:関東もしくは九州方面などであと1ヶ所くらい営業所を設置し、他にはない仕組みが作れたら面白いかなと思います。

法令も段々厳しくなっていますので、その中で色んな事を模索しながら、他の運送会社さんとタイアップしたいですね。
私と仲がよく一般貨物の許可取った会社が2社あるんですけど、その2社は今車屋から運送事業を始めています。私と同じやなって言って意気投合しました。運送にしては新参者で老舗じゃないから、同じような3社4社とで協力しながら営業所を作ったり、中継地点作ったりしていったら、やっぱりコストの負担も少なくなるので、その分従業員に還元したいと思っています。
また、スタートが一緒だったら抱える悩みもある程度は共有できますしね。当社も最初は人の欠員が出たり、トラックが潰れたりしたらどうしよう。という不安を抱えていたんですよ。今は予備車や予備人員の確保が出来る仕組みがありますが、皆やっぱり同じ悩みを持っていると思うんです。そういうことを共有していけたらいいのかなって。

「当社は歳が近い従業員が多いので、結構和気あいあいとやっている感じ。でも、気を引き締めるときは引き締めるようにと言っています。今風の会社になってきているんちゃうかなと思いますけどね。それが合っているかどうかはわからないけど」と倉原氏。ただ優しく指導するだけではなく、次代を担う若者が成長する場を生み出し、人と人とのつながりを大切にする。他社と情報共有しながら、倉原氏は他にはない仕組みを作るべく邁進していく。

一輪運送株式会社 代表取締役一谷 友治氏前のページ

一輪運送株式会社佐野 謙太氏次のページ

カテゴリー

月刊トラックランド本誌の定期購読ご希望の方はこちら
月刊トラックランド本誌バックナンバー
働くクルマの総合サイトトラックランド
PAGE TOP