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まなびのコラム

道路輸送市場の最新動向と課題を解説

道路輸送市場は、日々発展と進化し続けている一方で、2024年問題をはじめとする多くの課題にも直面しています。

本記事では、道路輸送市場の現状と最新動向について詳しく解説します。業界が直面しているドライバー不足や燃料価格の高騰といった課題、さらには2024年問題によって引き起こされる影響についても触れ、それらに対応するための対策や企業が取り組むべき点についても考察します。

道路輸送業界が未来に向けてどのように進化し、課題を乗り越えていくべきかについて、様々な観点から探ります。

道路輸送市場の現状

日本の道路輸送市場では、年間約43億トンの貨物が輸送されており、そのうち約90%がトラック輸送になります。※トンキロ数では約4,050億トンキロに達し、トラック輸送の分担率は約50%です。これは、国内の貨物輸送におけるトラックの重要性が非常に高いことを示しています。

新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度には輸送量が大幅に減少しましたが、その後、経済の回復とともに輸送量も回復傾向にあります。

※トンキロ:貨物輸送量を示すために使用される単位で、輸送される貨物の重量(トン数)とその貨物が運ばれた距離(キロメートル)を掛け合わせて算出されます。1トンの貨物を1キロメートル輸送すると1トンキロとなります。

市場規模

日本の物流業界全体の市場規模は約29兆円に上ります。この巨大な市場の中で、トラック運送事業が最も大きな割合を占めており、令和元年度の市場規模は約19兆3,576億円で全体の約70%を占めています。

この数字は、国内物流におけるトラック運送の重要性を示しており、日本経済にとって不可欠な役割を果たしていることを物語っています。

参考:日本のトラック輸送産業 現状と課題 2023

人材・働き方

道路輸送業界で働くドライバーの平均年齢は、全産業の平均が43.4歳であるのに対し、大型トラックの運転者は49.9歳、中小型トラックの運転者は47.4歳と高齢化が進んでおり、年々その傾向は強まっています。

さらに、女性進出は全産業平均の44.7%に比べて20.1%と低く、男性が圧倒的に多い職場環境が続いています。

また、トラックドライバーの年間労働時間は、産業全体の平均である2112時間を大幅に超え、大型トラック運転者は2544時間、中小型トラック運転者は2484時間と、長時間労働が常態化しています。

参考:トラック運転者の仕事を知ってみよう – 厚生労働省

抱える課題と対策

現在業界が抱える主な課題として「燃料価格高騰」と「2024年問題」が挙げられます。それらの課題の現状と企業における対策についてみていきます。

燃料価格高騰

業界が直面している主な課題の一つに、燃料価格の高騰があります。この問題は、トラック運送業をはじめとする業界全体に大きな影響を与えています。

2023年9月末の時点で、軽油の価格は1リットルあたり160.1円に上昇し、これは2008年以降で最も高い水準を記録しました。2024年2月現在、軽油の価格が150円台へと若干下落しましたが、依然として高い価格が続いています。

燃料費は運送業界のコストの大部分を占める要素であり、価格の上昇は運送業者の利益率を直接圧迫することになります。

【企業における主な対策】
・低燃費車両の導入
・燃料サーチャージ制導入

低燃費車両の導入は、初期投資はかかるものの燃料消費量を減少させ、長期的に運送コストを削減する効果が期待できます。中古車両の導入を検討することで、コストを抑えつつ新車両への切り替えも可能です。

また、燃料サーチャージ制の導入は、燃料価格の変動リスクを荷主にも共有することで、運送業者の負担を軽減します。荷主との力関係等もあり中小企業にとって価格交渉は容易ではないものの、目を背けてはならない課題と言えるでしょう。

2024年問題

業界が直面している「2024年問題」は、労働基準法改正による働き方改革の一環であり、道路輸送業界に大きな影響を与えることが予想されています。

この改正により、運転手の長時間労働が制限され、休息時間の確保が義務付けられるため、既存の運行スケジュールや人員配置を大幅に見直さなければならなくなります。

現在、ドライバーの高齢化と若年層の業界離れにより、すでに人手不足に悩まされており、2024年問題はこの課題へ一層加速させる可能性があります。

【企業における主な対策】
・ドライバーの給与や待遇の見直し
・業務の効率化

ドライバーの給与や待遇の見直しをはじめ、業務の効率化に向けた取り組みを進めることが求められています。給与や待遇の見直しは、労働環境の改善を通じて人手不足の問題に対処し、より多くの人材を確保・維持するための重要な施策です。

また、業務の効率化、配送ルートの最適化やデジタルツールの積極的な活用などは、限られたリソースを有効に活用し、生産性の向上を図るために不可欠です。

未来に備えるために

道路輸送市場は、国内貨物輸送量において依然としてトラック運送が大きな役割を果たしていて、現在業界では燃料価格の高騰や2024年問題、ドライバー不足など、複数の課題に直面しています。

これらの課題への対応として、企業は給与体系の見直し、業務効率化、燃料サーチャージ制の導入などの対策を講じる必要があります。

将来に向けて、これらの取り組みをさらに推進し、市場の持続可能な成長を実現し、直面している課題を克服することが業界には求められています。

貨物運送の倒産急増の背景とは?深刻な人手不足や燃料高の影響前のページ

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