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日章運輸株式会社
代表取締役会長 勝田 龍斗氏

まずは、自分の目で確かめる
初めてのルートの最初のドライバーは自分

福岡生まれの野球少年が15歳で大きな決断をする。
上京し、18歳で起業へ。
そこからの9年間で従業員数52名、所有台数42台にまで大きく成長させた。そこには、野球で培ってきた“常に物事を俯瞰し判断する力”が根底にある。
優先すべきはドライバーの存在。
給与から労働環境に至るまで徹底的なドライバーファーストの視点で、
組織としての在り方にエネルギーを注ぐ。
日章運輸株式会社代表取締役会長・勝田龍斗氏にお話を伺った。

【日章運輸株式会社】
本社:愛知県岡崎市梅園町字2丁目11番地6
名古屋支店:愛知県名古屋市西区見寄町172番
事業内容:一般貨物自動車送業、特定貨物自動車送業、貨物軽自動車送業、倉庫業、一般港湾運送業、通関業
従業員数:52名
保有車両:42台(岡崎本社19台、名古屋支店23台)

-創業について

平成26年。18歳で創業しました。当時は運送会社ではなく通関業で開業したんです。私は高校を1ヶ月で辞めて働き始めました。アルバイト経験もなかったので社会で働くという事が全く分からない状態から、知り合いの紹介で仕事を始めたんです。その会社は、国内のアパレルブランドに対して海外で製造した製品を販売する会社で、海外とのやり取りやアテンド業務がメインでした。私はハングル語が話せるので、即戦力として言語を生かす仕事に就けたんです。ここでの経験から通関士の国家資格を取得して創業しました。現在は、本社や名古屋支店、物流子会社4社のほか、韓国にも現地法人を持っています。
運送会社として動き出したのは4年ほど前です。通関手続き後の荷物を配送まで自分達で行えたらと考え、運送業をスタートさせました、中部運輸局へ新規許可申請をするときに局長から「20代で申請が降りた人はここ15年程見てないよ」と言われましたよ。今は、国際貨物の共配が中心です。これまでのご縁からアパレルが多いですね。コロナ禍で海外に製造依頼する形が増えているので需要はかなり増えました。コンテナを使うんですが、コンテナ船ではなくフェリー船で運ぶんです。“船より早く、飛行機よりも安い”というコンセプトで。大連を出荷して中2日で到着します。下関港から大型トラックで東海地区まで運び、関西・関東向けに共配しています。

-ヒストリー

幼少期は福岡で育ちました。父の影響で野球少年だったんです。ホークスジュニアでポジションはキャッチャーでした。その後、中学生の時に父の仕事の関係で愛知県岡崎市へ。新設のボーイズリーグで父がコーチをすることになり、私もそのまま2期生で入りました。ただ最初の年は試合に出られなかったんです。入部する時に監督から言われましたよ。父親がコーチをやっているから1年間は試合に出せないけどいいか?って。子どもながらにそういった大人の事情は理解していました。私が2年の時に、中学年代のクラブチーム日本一を争う『全国大会ジャイアンツカップ(全日本中学野球選手権大会)』にチームとして初出場を果たしました。
高校でも野球部に入りました。でも、入部して1ヶ月で辞めたんです。高校生になり、強い学校との試合を経験していく中で、個人で向き合うには限界があると感じました。それと同時に高校も辞めました。高校でも野球に打ち込みたいと考えていたので、その熱量がなくなったら高校も続ける意味がないと思ったんですよね。続けていたらどう答えが出ていたかは分かりませんけどね。
退学届は母親にそっと出して貰いました。父親は怖い存在だったので事後報告で。案の定もの凄く怒られて勘当されました。もう帰ってくるなってね。それで上京することにしたんです。結果的には、それが早くに仕事を始めるきっかけになりました。
野球を通じての繋がりを大切にしていると良いことがあると感じています。当時は練習が辛いだけでしたけど、そこで学んだことは多く、やってきて良かったというのは社会人になった今だから分かりますね。

-仕事の面白さとは?

生産性ですね。一日に車両1台でどれだけ稼げるかを考えるのが、この仕事の面白いところかな。なので、24時間動かすことを考えて仕事の交渉をしています。当社は特定の荷主がついていないというのが利点で、状況に合わせて仕事の受注ができるのがメリットだと思っています。荷主などを一つに絞ってしまうと危険性もありますよね。その荷物が滞ってしまったり、値上げ交渉するけど値引き交渉もあるので、そのせめぎ合いが絶対にあります。そこで主要荷主が8割を超えたり、1社だけになるとどうするか。この比率が重要だと考えています。このポートフォリオが崩れると、仕事も簡単に崩れてしまう。明日から仕事がないです、という状態になりますからね。だからこそ効率化を見据えて、自分たちの隙間時間をどれだけ効率化できるかを考えて動くことが面白いなと感じています。
今、2週間に一度、私がドライバーの話を何でも聞く日を作っているんです。何でも言っていい日。ドライバーは現場に出た先に課題がある訳で、そう言うのはちゃんと聞かなきゃ分からない。「言いたいことがあるんなら来てね。その場じゃなかったら不平不満は言っちゃダメ」と伝えてます。愚痴の時間は利益を産まないですからね。無駄な時間になる。ドライバーが会社の業務として問題提起をするのであれば、給料として時間数をちゃんと付けてあげればいいし、組織として必要なところは拾っていくべきと思っています。

-こだわり

業務の分担や、組織のシステム化にはこだわっています。支店長とマネージャー職に関しては2t、4t、10tの車格別に置いています。営業は私だけなんです。そして、受けた仕事を最初に乗っていくのも私だけです。現場にめちゃめちゃ行きますよ。定期の仕事として受ける前に1、2週間、自分で乗ってみるんです。これも分業制だからできることで、私がフリーで動けるようにしている理由がそこにあります。
これは会社スタート時から変わりません。経営者でありながらドライバー兼務だと思っているんです。仕事を受けるにあたって「自分がドライバーだったら」という視点が大切だと思っています。首からGoPro下げて1日中作業するんですよ。誰が見ても分かるようにね。どんな風に仕事ができたか、この業務が実際に毎日できる仕事なのかを、ちゃんと見える状態にするんです。
実際の現場に出てみると効率が悪いところはたくさんあって、相手が大手であろうと私はそこにもちゃんと口を出しますよ。相手は嫌かもしれないですけど、ドライバーが困る事なく仕事ができるベースを作るのが大切ですからね。
会社は身内ではないので言えないこともありますよね。免許一つで転職ができるというのもトラックドライバーのいい所でもあるので、全国どこに行っても働けます。だからこそ、どれだけ長く働いて貰えるかを考えていくと、結局、違いがあっちゃいけないんです。このドライバーはこの物流を運べるから仕事が増えるとかがあってはいけないと思います。休憩を取らずして働けるのが正解ではないので。適正運賃を貰うためには彼らの仕事の質を同じ状態でキープする必要がある。その環境づくりが私の責任だと思っています。

-トラックランドとのご縁

数年前に仕事で平ボディ車両が必要になったんです。ネットで検索していたら一番安い車両が栃木にあって、それからのご縁ですね。トラックランドは車両の状態が良いのはもちろんなんですが、他社と比較して様々なリース会社を提案してくれる点が助かっています。私を担当してくれている営業さんは具体的なアドバイスをくれたり、こちらの仕事に対して先行して動いてくれるのでとても信頼できますね。これからも一緒にやっていきたいと考えています。
結局、トライアングルなんです。仕事とドライバーと車。車両があって仕事が受注できるし、ドライバーがいて初めて仕事になる。この3つの柱の足並みを揃えなきゃいけない、どれが抜けてもダメなのでそこが難しいところですね。この点でもトラックランドには無理が言えるので(笑)

-将来の夢

東京大田区に拠点をと計画しています。関東エリアでの自社共配が可能になりますから、今一番に考えているのはそこですね。
最終的には優良企業への株式譲渡を考えています。全部売却します。ドライバーにとって福利厚生や給与賃金の形態などは大手に入ってもらったほうが絶対に強いんです。働く環境や体制を考えたら、絶対にその方が良いと考えています。
ここにドライバーのメリットはありますが、経営者メリットはないですよ。結局人が辞めない限りは毎月の売り上げは立ちますし、1台増えるごとにドライバーを雇用して仕事を入れて、売り上げも見通しがたちますから。そう言った部分ではいい仕事だと思います。でも、従業員に払っていけるコストは、運賃が上がらない限りどんどん切り詰めていくしかないと思っているので、そこに関しては長いものに巻かれた方がいいかなと考えています。
仕事の夢は絶対に達成します。自信家というよりは、この仕事に対する客観的な分析ができているので。最後の一人になっても自分でトラックに乗れればいいですしね。最終的には、どんな仕事でも自分で「ごめんなさい」がちゃんと言えるかだと思ってます。人を大切にしたら必ずうまく行きますから。
私個人の夢としては大所帯家族になれたらいいなと思っています。祖父は孫が22人いるんですよね。私も5人兄弟の長男で、子供が2人います。身内に恵まれたらいいですね。

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