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まなびのコラム

トラックのアイドリングストップによる熱中症リスクと対策を解説

現代社会では、騒音被害の防止や燃料消費の軽減、さらには排出ガスの削減のために、トラックを運転する際のアイドリングストップは当たり前とされるマナーとなっています。この行動は、地球環境への貢献だけでなく、運転者自身の経済的な負担を軽減する手段でもあります。

しかしながら、真夏の待機中などにエンジンを停止すると、車内は地獄のような暑さとなり、その結果、熱中症のリスクが急激に増加してしまう可能性があります。

厚生労働省によれば、運送業は建設業や製造業に次ぐ、熱中症による死傷者数が多い業種とされています。

今回の記事では、トラックのアイドリングストップが引き起こす可能性のある熱中症リスクについて詳しく解説します。

トラックのアイドリングストップは熱中症リスク増

荷物の到着を待つ間や休憩時間中、環境のためや近隣住民への騒音被害を防ぐためには、エンジンを切ってアイドリングストップを行うことが推奨されています。しかし、夏季の炎天下でトラックのエンジンを停止させると、避けて通れない事実として、車内はとてつもない暑さとなってしまうのです。

荷物の主にもよりますが、実際のところ、待機時間が4時間以上にも及ぶことは稀ではありません。その期間、車内でエアコンの助けもなく過ごすと、まさに熱中症に陥るリスクは非常に高まります。これはドライバーの健康を脅かす深刻な問題であり、無視することはできません。

アイドリングストップが原因による熱中症を防ぐには?

トラックのアイドリングストップが原因となる熱中症を防ぐための最も効果的な手段は、集荷場に設けられたドライバー専用の待機場所や休憩室など、涼しい環境を利用して待機や休憩を行うことです。これにより車内での長時間の暑さに耐える必要がなくなります。

しかし、現実として、ドライバー専用の休憩室を完備している倉庫はまだまだ少なく、多くのドライバーは車外の木陰などで休憩を取るしかないというのが実情です。

もう一つの解決策として、初期費用は少し高価になってしまいますが、蓄冷クーラーの導入も熱中症予防策の一つと言えます。これはトラックのエンジンを切った状態でも稼働できる冷却装置で、アイドリングストップ中でも車内で快適に休憩を取ることが可能となります。これにより、安全で健康的な環境を維持することができるのです。

その他トラックドライバーの熱中症対策・予防法

トラックドライバーだけでなく、夏場の作業を行うすべての人々にとって、熱中症対策は必須となるものです。これは健康維持のための基本的な措置であり、その重要性を理解することが大切になります。

最も基本的な熱中症対策と言えば、やはり水分補給です。トイレに頻繁に行くことを避けたいという理由で、水分補給を怠るのは絶対に避けるべき行為です。こうした態度は健康リスクを高め、仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があります。

水分補給のポイントは、大量の水を一気に飲むのではなく、一定の間隔で小まめに補給することです。常に口の中を潤わせるつもりで定期的に水分補給を行うことが、健康維持にとって効果的な方法と言えます。

さらに、扇風機やクールタオル、空調服などを活用して体を冷やすことも、熱中症対策としては非常に効果的です。実はトラックの車内、特に寝台部分では、両サイドの窓を全開にしていても空気の循環が十分には行われません。そのため、車内の空気を適切に循環させるためにも、小さな扇風機があると、それがない状況と比べて大きな違いを生み出します。

また、車内の温度は日差しによってすぐに上昇してしまいます。そのため、サンシェードを使うなどして熱が車内にこもることを防ぐのも重要です。このような熱中症対策は、自分自身を保護し、仕事の効率を維持するための重要な措置となります。

トラックのアイドリングストップによる熱中症に要注意

トラックのアイドリングストップは、地球環境を考慮する観点や燃料の節約という経済的な視点から、荷主や運送会社から強く推奨されている行動です。そして、その指示に従って、アイドリングストップを実践しているドライバーの方々も少なくないでしょう。

その一方で、アイドリングストップした状態の車内での待機や休憩は、冬場や比較的涼しい時期には特に問題ないのですが、夏場になると状況は一変します。特に炎天下の中での待機は、何らかの対策を講じなければ熱中症のリスクが非常に高まり、それが直接的な健康リスクとなって現れます。

そこで、集荷場にドライバー待機所や休憩室など、涼しい場所が設けられていれば、車内ではなく、そうした施設を利用して待機や休憩をとるように心がけましょう。これにより、熱中症のリスクを大幅に軽減することができます。

また、小まめな水分補給も非常に重要です。体内の水分が不足すると、熱中症のリスクはさらに増大します。同様に、車内の空気を適切に循環させることも重要な対策の一つとなります。

「暑いのは仕方がない」という思い込みを捨て、少しでも体調がおかしいと感じたら、すぐに涼しい場所へ移動し、体調が戻るまでしっかりと休息をとるようにしましょう。自分の健康を守るためには、こうした自己管理が絶対に必要となります。

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