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創業15年目を迎え、進化を続けるタカネットサービス。
来る「2024年問題」、そして未来の展望とは?


タカネットサービス・代表取締役社⻑ ⻄⼝ ⾼⽣の記事です。

-6月5日に創業15年目を迎えました。西口社長は今、15年目に対してどんな想いを感じていますか?

西口高生社長(以下、西口):創業時、マンションの1室からスタートをして、その後、東日本大震災を経験し、コロナ禍が起きて半導体不足があり、ロシアによるウクライナ侵攻に起因した新車納車遅延など、この15年は、天変地異や疫病蔓延による大激動時代の真っ只中での経営でした。がむしゃらに走り切ったという印象です。特に印象に残っているのは、2019年の東証へで上場です。今、思い返してもこの15年の一番の晴れ晴れしい時間でした。反対に2021年のコロナ禍に、上場への取り止めを決断をしたことは、とても苦しい経験となりました。しかしこれらの経験を経て、現在のタカネットサービスの成長につながっているのだと実感しています。

-では、未来への展望やヴィジョンについてお伺いします。まず、差し迫った話題としては「2024年問題」がありますが、これについてはどのようにお考えですか?

西口:「2024年問題」とは、働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働の上限が960時間に制限され、それにより生じる問題のことです。これに関して、我々には明と暗の2つの側面が予想されます。

まず、我々のグループ企業には、栃木県大田原市に拠点を置く株式会社タカロジという物流会社があります。前回、お話したように、我々は、新車で購入したトラックを運送会社にリース・レンタルする、「リース de スグのり」という事業を展開していますが、新車のトラックは発注から納品まで、約半年ほどかかりるため、その間のオーダーを見越して、つねに注文数より多く新車を購入しています。そこでお客様からのオーダー待ちのトラックを稼働させようと始めたのが、この株式会社タカロジであり、お客様のニーズにお応えするために、多種多様なサービスを展開しています。つまり、運送会社の一員としても、この2024年問題は我々を直撃する悩ましい問題です。

現在、EC通販の出荷数が右肩上がりに増加していることにより、多頻度小ロットの物流が増えています。株式会社タカロジでも、EC物流を受注しており、小さな荷物であっても、倉庫からお客様の玄関先まで、丁寧かつスピーディにお届けしなくてはいけません。コロナ禍を経てEC通販の利用者が増え、過去最高の需要があり、トラックのニーズは高まる一方ですが、それに伴い労働時間も増加しています。こういった状況の中で、年間の時間外労働960時間以内を遵守し、いかに事業を完結させるかという課題に対し、官民が一体となって取り組む必要があるのではないかと考えています。

-タカネットサービスにとっての「明るい側面」とはどのようなものでしょうか。

西口:「明るい」とまでは言えませんが、2024年問題は我々にとって、チャンスにもなり得ます。2024年問題は、運送会社に非常に負担がかかる法改正です。法の施行を目前に、中小の運送会社がかつてないほど倒産しています。その理由は、2024年問題に起因する人件費の増加。これから人材の奪い合いになるため、賃金のベースアップを実施しなくてはいけません。しかし、それが事業の組み立てに合致していないと、ゆくゆくは資金難に陥り倒産に至ってしまいます。そして、もう1つは燃料高です。現在の燃料費は8年前と比べると約2倍も上昇しています。人件費と燃料高でなかなか収益性が上がりません。さらに3つ目の理由は、コロナのゼロゼロ融資を受けた中小企業が、今、償還期間に入っていることです。償還資金が必要なのに、先の2つの理由で手元に現金がありません。

このように、運送会社に仕事の発注はあるけれど、受注すればするほど赤字になり、資金難に陥ってしまうのが現状です。この苦境を乗り越えていただくため、我々は「CASH de スグのり」というトラックリースバックのサービス事業を展開しています。これは、トラックを所有する運送会社が我々に車両を売却し、その売却した車両で弊社とリース契約を結ぶことにより、車両をそのまま使用しながら一時的な資金が手に入るという仕組みです。これは我々が買い取り、さらに投資家に販売するという金融商品ですが、現在、大ヒットしておりまして、トラックを売却したいお客様に順番に対応させていただいている状況です。

今後、2024年問題に関連して、運賃値上げなど様々な問題が現れてくるでしょう。今や物流は生活に欠かせないインフラです。それがストップしてしまうと、市民生活がおびやかされてしまいます。ですから、今後、政府としても、外国人労働者に対してドライバーなどの雇用機会開放を検討するなど、何かしらの対策を講じる必要があるのではないかと思います。

-最後に、次の15年に向けて、貴社の展望についてお聞かせください。

西口:現在、タカネットサービスは、上場への取り止め後、次の成長期を迎えています。これまで、業界の先陣を切って取り組んできた商用トラックのサブスクリースが、新車不足や中古車高騰の中で注目度が増し、その事業の有効性を認めた投資家が当社のリースビジネスに投資を始め、一気にこの事業が活性化しました。当社は、単なる投資デベロッパーではなく、生業である車両の購入販売はもとより、陸送・登録・整備など自社一気通貫のサービスを展開しています。ややもすると投資事業はノンアセット化しやすい事業形態ですが、アセットをしっかり保有してリース業を行ってきたことが、上場への取り止めという苦い経験があったにも関わらず、投資家から高い評価をいただいている理由だと考えています。

ここから先の15年は、これまでと同様に生業である中古商用車の売買は主力事業として堅持しつつも、ユーザー向けリースバック商品の提案深耕を図り、商用トラックの中古価値の高いプライスをうまく取り込んだ投資商品開発を進め、この業界での先行事業者としての地位向上に努めていきたいと思っています。商用トラックの価値を最大限に生かした「トラックのことなんでも」を、収益事業として取り込んでいく15年にしたいと考えています。

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