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節税について説明します

まなびのコラム

税金の話 第二回
中小企業の経営者向けの節税対策

第2回目となる今回は中小企業の節税対策を取り上げようと思います。数ある節税対策のうち、経営セーフティ共済と言われる中小企業倒産防止共済制度をご紹介いたします。同制度の活用の仕方により、うまく節税を図れることがありますので、一度ご検討頂ければと思います。

こちらの制度は、国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、名前のとおり取引先業者が倒産し、売掛債権等が回収困難になった場合に貸付けが受けられる制度になります。

掛金は税法上損金(法人の場合の費用)または必要経費(個人事業)として位置付けされ、月額5千円~20万円の範囲内で自由に決めることができ、掛金総額が800万円になるまで積み立てることができます。

取引先事業者が倒産する等の売掛金債権が回収困難となったときには今まで掛けてきた掛金総額の10倍に相当する額または8,000万円のいずれか少ない額を借りることができます。

また、取引先事業者が倒産していなくても一時貸付制度がありますので、急な資金需要にも応じることが可能になります。

ここまで、制度の概要について記載してきましたが、掛金が税法上損金にできる点、取引先事業者の倒産に備えた貸付制度がある点、事業者にとって、十分にメリットのある制度かと思います。

実際の活用の仕方ですが、掛金を支払えば、上限の800万円(年間では月額20万円×12ヵ月の240万円が限度)までは毎年経費として計上することができます。同制度を少し応用すると月額掛金は5千円~20万円まで自由に決められ、加入後も増額・減額は変更届を提出すれば、随時変更ができることから事業者の業績に応じて、その掛金を変更させることができます。業績の良い時は掛金を多めに支払い、悪い時には掛金を少なくすることができますので、節税対策に使えるのではないでしょうか。また、掛金には前納という制度があります。一年分を前払いすることができ、税法上も支払った期の前納した分は経費として認められます。決算期に前納すれば、翌一年分を経費計上することができますので、利益の圧縮も検討できると思います。(ただし、前納した場合は翌年も前納の届出をしないと自動的に月払いになってしまいます。また、前納を希望する月の5日までに中小機構に申込書が必着となりますのでご留意ください。)

掛金は40ヵ月以上支払えば、解約時には全額が戻ります。ということは、現時点で節税対策の予定がない方も月々、月額掛金最低の5千円ずつ加入していると、掛金の納付月数が40ヶ月を経過するタイミングも早まり、解約時に掛金全額が戻るように備えることができます。

このように、業績が悪くなる等、いざという時に備えて早めに加入しておき、いつ解約となっても掛金が全額戻るように対策をしておくことも一つの活用方法かと思います。

また、解約時にはその解約返戻金は全額が収入として捉えられ、税金がかかってしまいますが、解約のタイミングを考慮すれば、その点も補うことができます。利益が出ているときに解約をすれば、税金がかかってしまいますが、損益が悪い時に解約をすれば、税金がかからないこともあります。

掛金支払時=経費計上時には税金が安くなり、解約時=収入計上時には税金がかからない、ということができる余地があります。

例えば、解約時を退職金の支給時期にすれば、解約返戻金の収入は退職金という経費と相殺され、退職金の支給の財源も確保できます。

このように国が扱っている制度も活用の仕方によっては十分に節税に繋がります。

ちなみに、決して国の制度のおすすめしているわけではありません。こういう活用の仕方もあります、という「ハマっ子税理士の独り言」と思って頂ければと思います。

実際に運用される際は中小機構や顧問税理士の先生に制度の概要、処理方法についてご確認の上、手続きの方をご検討ください。

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